美味しいみかんを育てる石垣の畑
和歌山県有田市は有田川が市の中央に流れ、川の北側と南側に険しい山々が連なっており、特徴的な地形をしています。
山々には石垣を積んで作られた階段状の段々畑が築かれており、そこで柑橘の栽培が
行なわれています。
有田にあるみかん畑の約7割が傾斜度15度以上の急傾斜地にあるそうです。

山の斜面、ほぼすべてが柑橘の畑です。筆者も初めて見たときは驚きました!
まるでマチュピチュ。(マチュピチュ行ったことないですが・・・(笑)。)

これらの石垣は江戸時代から作られ始めたといわれています。車も機械もない時代に重い石を運んで作っていたようです。ご先祖様の努力が今日の柑橘栽培を支えているんですね。
とはいえ、こんな急傾斜の段々畑では作業が大変で効率も悪いのでは?と思われるかもしれません。実際に作業をしていると石段を昇り降りすることが多く、平地の畑よりも体力が必要で、効率的とは言い難いです。ですが、たとえ非効率だとしても、大きなメリットがあります。
さて、それでは、石垣の畑のメリットを見ていきましょう。
メリット① 地温の上昇
石垣に日光が当たると、石が温められ、その熱が土壌に伝わり、地温が上昇します。
柑橘の木は根から養分を吸収していますが、地温が低いと養分を吸収しにくく、逆に地温が高くなると養分を吸収しやすくなります。石垣によって地温が上がり、養分を吸収しやすくなった柑橘の木は元気に成長します。
メリット② 日当たり&石垣の反射光
段々畑では日光が畑全体にまんべんなく当たります。また、石垣が日光を反射し、その反射光も木を照らします。これにより、光合成が盛んになり、果実の色づきも良くなります。
メリット③水はけの良さ
石垣の段々畑では、石と石の隙間から適度に水分が放出され、土の中の水分量を適度に調節してくれます。みかんの果実ができるうえで、余分な水分があると、味が薄くなってしまうことがあるのですが、石垣の水分調整効果により、水が適度に放出され、甘さがぎゅーっと詰まった甘いみかんができます。
以上が石垣の段々畑のメリットです。
作業性が悪いところもありますが、有田の伝統的な石垣の段々畑を守り、そして後世に伝えていきたいと思います。
