みかんな豆知識

晩生(おくて)みかんについて

今回は晩生みかんについて話していきます。
晩生みかんとは温州みかんの中でも一番最後に出荷されるみかんで12月末から1月にかけて収穫されます。年内になんとか収穫を終わらせて、気持ちよくお正月を迎えたい有田のみかん農家にとって晩生みかんはまさにラスボス。伊藤農園の生産部(みかんを栽培する部署)の自分としては晩生のことを考えると、年末の忙しさがよみがえってきます。

それでは晩生みかんの特徴について
・皮が硬い
・じょうのう膜(袋)が硬い
「中も外も硬いのかよ」「食べにくそう」と思われるかもしれませんが硬いのにはわけが有ります。晩生みかんは一番最後に収穫することもあり、花が咲いて実を付けてから成熟するまでの期間が長いのでその分甘味をぐっと蓄えます。そして皮が硬いので腐り難く長期保存に向いています。この保存できるというのが晩生みかんの一番の特徴です。

有田のみかん畑を見回すとぽつぽつと畑の中に蔵が見つかります。この蔵はみかんを貯蔵するために建てられたものです。蔵は木造で壁は土壁で作られており風通しがよくみかんを貯蔵するのには最高の環境です。ご家庭でもみかんを保存する場合は、日の当たらない風通しの良い場所で新聞をひいて保存すると長持ちしますよ。
そして貯蔵することで、みかんの余分な水分が抜け酸味もマイルドになり、さらにおいしいみかんに変身するのです。
こういった晩生みかんを熟成させたのを「蔵出しみかん」と言います。蔵出しみかんで有名なのが有田市のとなりにある下津町です。有田みかんの神様「紀伊国屋文左衛門」が江戸にみかんを運ぶ際に下津港から船出したという伝説もあります。蔵出しみかんの歴史は古く300年前には既にみかんを藏で熟成させていたそうです。

ここでちょっと晩生みかんの品種を一つ紹介します。
晩生みかんの中でも有名なのが青島温州で、我々伊藤農園でも一番多く栽培されています。
初めて青島を食べたときその甘さにびっくりしました。
栽培してみた感想ですが樹勢がよくて育てやすいです。しかし枝が伸びすぎることがあるので折れないように気をつけないといけません。あと隔年結果しやすく大玉になりやすい傾向があるのですが、他の品種と比べて味がぼけ難くしっかりと甘みがあります。贈答品として大きくて立派なみかんを送りたい時に昔からよく青島温州が選ばれるのですが、こういった特徴からなのですね。

さてさて晩生みかんについて話しましたがいかがだったでしょうか?
みかんってすぐ腐るイメージですが2月、3月になってもみかんを食べられるのは晩生みかんのおかげだったんですね。皆さんもみかんとコタツで寒い冬を乗り切りましょう。